「火破りって……そんなの許されるはずが」
「いや、許されるんだよねえ、これが」
「ラグナロク一座という名は災害だ。その災害をかくまっているとなれば、重罪だろう。千の命を守るために百の命を切り捨てるぐらい、どうってことないよ」
「そんな……」
「だからの打開策だよ、ユーリちゃん。やられる前にやっちゃおう作戦。――でも、満足に戦えないんじゃなあ」
「甘くみるなよ。千の一の力だろうと、そこいらの魔術師には劣らない」
「そかそか。シィちゃんは元が強いからねえ」
どんとこいだね、とシュヴァルツさんが彼の背中を叩いた。
「じゃあ行きますか。騎士団がいる場所まで。ユーリちゃん着替えて」
「ふん、ならば出ていけ。ユリウスの生着替えを見ていいのは俺だけ――」
「あなたもさっさと中に戻りなさい!」


