ちゆまど―世界は全て君のために―



「はた迷惑な奇跡ですよ」


「にしても、満足に戦えないのかあ」


「何の話だ」


「シュヴァルツさん、騎士団に狙われているそうです。だから守ってほしいと」


解説したつもりが、ちょっと違うねと言われる。


「倒すのを手伝ってほしいんだ。今夜、こちらから乗り込むから」


「え、今夜ですか!しかもこちらからって」


「ちょっとね、急を要するんだ。何せ、騎士団の連中、この村に目をつけたんだ。俺が見つからないから、この村が俺をかくまっているんじゃないかと疑い初めてね。村の人は優しいから知らぬ存ぜぬをしてくれたんだけど……そうも言ってられないんだ」


よっこいしょとシュヴァルツさんが立ち上がる。


「盗み聞きしたんだけど、この村を火破りするらしいんだ。俺をあぶり出すためにね」