「それはシュヴァルツさんこそが優しいからだと思いますよ」
「俺?」
「はい。今日、色んな人からシュヴァルツさんのいい話を聞きました。猛獣を追い払ったり、重い荷物を持ったり、露店の手伝いしたり、子供たちと遊んだりと、色んな善行とシュヴァルツさんの人柄があるからこそ、きっとみなさん、あなたを迎えたいんですよ」
「……、俺はそんなんじゃないよ」
担いでいた毛皮を降ろし、私を見る彼の目は悲しげだった。
「子供と遊んだり、手伝いをしているのは、どこの誰とも知れない俺をここの人たちが受け入れてくれたからだ。
それに一番、仲良くなれた理由だって――」
毛皮を撫でる手。とても優しい指先に見えた。
「猛獣を追い払ったわけじゃない。猛獣を食べたんだ。自分の生きる糧として」


