大丈夫だと言うけど、シュヴァルツさんは不安そうだ。
「ダメだよー、のぼせるまで入っちゃ。ほら、横になって。水、持ってくるから」
手を取られ、ベッドに寝かされた。
髪をまだかわかしていないこともあり、思わず上体をあげるもシュヴァルツさんは水を持ちに行ってしまった。
戻ってきたシュヴァルツさんの手には、水が入ったコップとオレンジがあった。
「宿屋の主人に貰っちゃった。水飲んだら食べたら?」
「すみません」
渡された水を飲む。
オレンジは。
「シュヴァルツさんが食べたらどうです?きっと、宿屋の主人も喜びますよ」
「ううん、それは間違いなく君用だ。だって主人――村のみんな、俺が血肉しか食べれないって分かっているから」


