がりっとりんごをかじる人を横目に話を続ける。 「偽善者って……、シュヴァルツさんは善人でしょう。子供と遊んだり、猛獣を追い払ったり」 「……それでもあいつは、偽善者なんだよ」 よく分からないシブリールさんだ。 たまにあること。私に嘘をつけないから、言いたくないことは言葉を濁す天才だ。 それ以上は踏み込まない。 彼は私とは違う次元を生きているのだから。