そう、とシンシアさんが背を向ける。横にポチを従えて。
「ごめんあそばせ」
言い捨て、消えてしまった。
「ふふ、これは面白い。シンシアもまだ発展途上。憎しみを糧により強くなるだろうなぁ」
いなくなった人を笑うラグナロク様は愉快そうだった。
はたりと目が合い、くつくつと声を出す。
「そなたらもせいぜい、余を楽しませておくれよ」
「ババア、自惚れるなよ。俺たちは、あんたの玩具じゃない」
「おかしなことを。世界という盤上の駒である限り、余の遊び道具よ。――余は、“世界の守護者”にして、“世界の外周因子”。観客席にいる管理者ぞ。それはそなたがよく分かっておろう?」
「くそババアが……」
シブリールさんの恨みを聞いても、ラグナロク様はなお笑顔でその場を立ち去った。


