「なんで今更……」
こんなことに気付いたのだろう。
『間違っている』
間違っていた。
「ユリウスの言う通りだ、僕は……」
血だまりの中、あと僅かしかない生の灯火にすがる。
生きたい、まだ生きていたい。
愛する人たちを殺した自分が思うのもおこがましいが、気づいたから死んではならないと思った。
大切にしたかった、愛した人たちが愛してくれた体を。
「愛しいユリウス、君は幸せに生きて」
涙ながらに願った。
「ごめんよ、ずっと寂しい思いをさせて」
だから今度から自分がそばにいたいと思ったけど、無理そうだ。
「君に合わせる顔がない。父さん母さん……僕にはユリウスを守る資格がなくなっちゃったよ……」


