手に持った断頭台を構えるシブリールに、試しにとイナディアルは弾丸を生み出す。先と同じ数、どれと発射すれば。
「……」
何もせずに弾丸が止まった。シブリールの前、くるりと一回転して、イナディアルに向かってきた。
カウンターだった。詠唱なしで見事なと、タクトで空を撫でる。
弾丸は全て消え失せた。静寂たる攻防はどちらも強者であるのを意味している。
片や、“定理を否定せし魔術”
片や、“魔術全てを制する王道”
「クッ、これは本気でいかなきゃねえ」
久々の戦いだと、イナディアルが指を鳴らす。
舞台の幕が上がる。身構えたシブリールだが、緩めそうになった。
人がいない。
てっきり援軍でもいるかと思えば、ステージにあったのは楽器。


