ちゆまど―世界は全て君のために―



目を背けそうになるが、力強い藍色が離させてはくれなかった。


「頼むから、頷いてくれ……!あいつは法で裁けるほど以上の罪を作っている。俺が手を下しても問題ないはずだ。いいや、俺でしかできない!あいつはユリウスを殺すものなのだから」


がしりと掴まれた肩は痛いほどだ。彼の真剣さがよく伝わる。


「ユリウス……!」


兄さんを見る。相変わらずの笑顔だけど、何一つアレの思いは変わってないのだろう。


殺される恐怖よりも、兄がこれから人を殺していく恐怖が強かった。


兄を止めたい、でも止めたいならば。


「……」


黙って、頷いた。


肩にあった手から力が抜ける。彼は私の額に手を置いて。


「眠って、見させないから。残酷なことは全部、俺に任せて」


流れる何か、いや、流しているのか。意識が吸われる感覚があって。


【告ぐ】