駆け寄り、シブリールさんの体を治療した。
「ユリウスの時の力は相変わらずだねぇ」
ぱちぱちと乾いた拍手をする人を睨んだ。
「もうやめてください!」
「ユリウスがその身を笑顔で差し出してくれるなら、ね」
「ふざけるな!ユリウスは貴様のものではない!」
立ち上がったシブリールさんが叫ぶ。
目を細めた兄はやれやれとした素振りだ。
「そういうのは、強くなってからいいなよ。君みたいな並がユリウスの側にいるなんて、護衛にもなりやしない。よくもまあ、今までいられたものだ」
「言わせておけば……!己で言った言葉、忘れずにいろ!」
シブリールさんが私の目を見た。
何かを諭すように。
「ユリウス、あいつを殺させてくれ。もう話し合いは済んだんだろ」


