タクトを振った。振ったタクトから黒い弾丸みたいな丸が出て、シブリールさんに発射された。
飛行機雲のように尾に後を残し、己が渡った直前を描いたそれはシブリールさんの刃によって遮蔽される。
「今のに反応できるんだ、戦闘力は並じゃないね。ただ――」
弾丸の数が倍になった。
「【遮断、通すこと】――ぐ」
詠唱よりも早い弾丸がシブリールさんの体に当たった。主なものは床に落ちたが、いくつかは彼の体を貫通したのを見た。
「シブリールさん!」
「魔術が並だ。剣士だね、まるで。こんなのも防げないだなんて」
膝をつく彼への侮辱。その侮辱は私のせいだと分かっていた。
彼は私と一心同体になり、力を失った。本来の千の一も出しきれていない。


