ちゆまど―世界は全て君のために―



「ユリウス、大丈夫か!」


ごほごほとする私の前にはシブリールさんがいた。シブリールさんが助けてくれたんだと説明なしで分かる。


「シブ……リ」


「くっ、貴様!」


苦々しい顔を見せたあと、彼は兄に向き直る。手には例の断頭台が握られていた。


「死にたいようだな!ユリウスに手を出すとは!」


「また君か……まったく、どこから……」


殴られたらしい頬を撫でながら兄がじいとシブリールさんを見た。


青い瞳が金色に染まったように見え。


「へえ、何かと思えば、君、ユリウスの中の住人か」


瞳が青色に戻る。全てを知ったように兄は語った。


「通りで、ユリウスの側にいるわけだ。離れられないよね、それは」


「貴様……」


「羨ましいなぁ、君が先にユリウスと一つになったか。まあ、僕にとっては大きな邪魔者だ。ユリウスと一つになるにあたり、君は要らないから」