「寂しかったろう、ユリウス。あの時、食べておけば良かった。そうすれば、互いにこんな思いしなくて済んだのに」
抱き締めていた腕が首に回る。指が、首を、圧迫。
「僕の過ちだ。でも大丈夫。もう寂しい思いはさせない。抱き締めることはできないけど、笑顔を見せることもできないけど、でももう十分にやってきただろう?これからはそれよりも上の次元にいくんだ。幸せだよ、きっと。みんな一つになって笑顔のまま終わらせてあげる」
「に、い……っ」
締め上げる腕を掴むがびくともしなかった。
喉奥からぶくぶくと泡があがるのを感じた。
「笑って、ユリウス。父さんと母さんのように……!」
「っ……!」
唾液が口から出たとき、兄さんは弾けるようにして後ろに飛んでいった。


