「心が一つねぇ、なんだか形なくて実感がわかないな。物理的に一つにならなきゃ不安じゃないか」
「心は列記とした形であります!なにが不安なんですか、あなたにだって心はあるでしょう?家族と一つになりたいって、そこまで感じるのもまた愛情、心から来るものですよ……!食べる必要なんかなかった!あなたが愛せば、周りも愛してくれるのだから……!」
「……」
腰にあった左手が下がる。はあとため息をついた。
「心は不変じゃないんだよ、ユリウス。いつかは変わるものだ。なら、変わる前に一番綺麗な形で終わらせて、望みを叶えてあげた方がよくないか」
「それはあなたの傲慢です。不変じゃないかもしれない、でも想いはいつだって“取り戻す”ことができる。変わったならまた変わればいい。望み通りにいかないからって壊すのは単なるわがままだ……!あなたは……兄さん、あなたは、大切な家族を殺したんだよ……」


