ちゆまど―世界は全て君のために―



「さすが僕の家族だ、こんな力があるなんて。これは、少し趣向を変えるか」


ふむと頷くお兄ちゃんが理解できない。

「なんで……、なんで、殺したの……」

「なんで?おかしいな、だって、これはユリウスが望んだことでもあるじゃないか。ずっと一緒にいられるんだよ。一緒にいるってことは、一緒になるってことだ。

父さんも母さんもきっと喜んでくれている。僕だって嬉しい、大好きな父さんたちが僕の中にいるなんて」


「お兄ちゃんは、お父さんたちが好きじゃなかったの……」


「大好きだよ。大好きだから、殺したんだ。人間はいつか死ぬもの、なら死ぬときは愛する人の手で死にたいじゃないか。

僕は父さんたちに殺されてもいいと思った。食べられてしまうのも良かったけど、父さんたちは殺せないと言った。

だから僕が変わりにしてあげたんだよ」