ちゆまど―世界は全て君のために―



私に馬乗りになる人を見た。


「ユリウスを食べたら、すぐに父さんと母さんも僕のお腹にいれるからね。一つになろう。みんな、僕の中でずっと一緒だよ」


「あ……」


「痛くない、痛くないよ。すぐに楽になるからね」


お兄ちゃんが穴の空いた私のお腹に顔をうずくめて。


「――へえ、これはこれは」


なにか感心げに呟いていた。


私はと言えば、あんなに痛かったお腹が痛くなくなったのに驚いた。


「治癒……いや、にしては領域外、もっと上の――ああ、そうか。巻き戻しか!」


納得したお兄ちゃんは笑っていた。


「君は凄いよ、ユリウス!時を操れる。全てのことをなかったこと(リセット)できるんだ!」


何を言っているか分からなくて、私は泣くだけしかできなかった。