ちゆまど―世界は全て君のために―



首から溢れる血をジュースでも飲むみたいにじゅじゅっと飲んだ人を見て、悲鳴をあげた。


後は簡単な話、逃げた。


怖くて、怖くて怖くて。


暗い森の中を精一杯走ったのに。


「――」


背中からお腹に向かって激痛が走った。


「あ、……あ!」


お腹からだらしなく色んなものがこぼれる。


押さえようにもぐちゃりとした感触が気持ち悪かった。


「ダメだよ、ユリウス。こんな夜に森に出ては」


優しい声がした。

どこまでもいつも通りの声がやけに頭に響いた。


ひゅっ、ひゅっ、ときちんと呼吸できないながらも、その人を見る。


腕についていた私の欠片を口に含んでいた。


「ユリウスは格別だね、甘いよ。まずはユリウスからいただこうか。このまま放置したら野犬に食べられてしまうからね」