ちゆまど―世界は全て君のために―



夜、話し声が聞こえて目が覚めた。


お兄ちゃんは隣にいない。


こそーと扉を開ければ、頭を抱えるお父さんと涙を流すお母さん、それを見るお兄ちゃんがいた。



「どうして……こんなことをしたんだ」


「誤解だよ。僕じゃない」


「嘘はつかないで、イナディアル。私たちの子供でしょう」


「……父さんとユリウスを傷つけたから」


「それはもう大丈夫だと言っただろう。許すとお前だって言ったじゃないか」


「許したよ、僕のお腹に入った時点で」


お母さんがより涙する。

お父さんは深く息を吐いた。


「僕はね、普通じゃないんだ。けど、僕は父さんたちが好きだから今までしなかったんだ。悪いのはあいつだ。僕の大切な人に手を出したんだから。当たり前の罰だよ」