その日、私はお兄ちゃんと森の中にいた。
「ユリウス、何がしたいの」
「キャンプファイヤーっ」
石を二つ持ってかちかちを続ける私は、何かの本の影響を受けてそんなことをやっていた。
「ユリウス、その石じゃつかないよ」
「つくもん!昔の人はこうしていたの!」
「あれはね、特殊な石で――いや、いいか」
苦笑いを浮かべながらも、お兄ちゃんは私のやることをじっと見ていてくれた。
「ねえ、ユリウスは父さん母さん、どっちが好き?」
「全部」
「どちらかだけと言ったら?」
「全部!お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも全部!」
「……僕も好きでいてくれるの?」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんだから、すきー」


