ちゆまど―世界は全て君のために―



それから、私は毎日お兄ちゃんと一緒にいた。


小さな村だったため遊べる子供がいなかったのだ。



「仲がいいわねえ、本当の兄弟みたい」

手を繋いで村に行くと必ずおばさんたちに言われたので。


「私とお兄ちゃんは兄弟だよ」


よく首をかしげてはおばさんたちを困らせていたものだ。


診療所から村は少し離れている。途中拾った木の枝で、意味もなく地面を叩きながら歩く私。


お兄ちゃんは絶対に手を離さなかった。

「お兄ちゃん、野菜のお歌知ってる!」


「母さんとユリウスが一緒にいると必ず出る歌だろう、知ってるよ」


「ユリウス、歌いますっ。野菜はー、体にいいのー、キャベツ、にんじん、たまねぎ、好き嫌いはいけないのー」


「ユリウスはお歌が上手だね」