ちゆまど―世界は全て君のために―



「ユリウスの危機かもしれないんです……!お願いします、彼女を守るためにも、俺は知りたい!」


懇願にも近い顔にゼナは落ちた。


いつかは話さなければならないこと、しかしてそんな時は訪れてほしくなかったと。


「ユーリちゃんの、ご両親は、それはもう、優しい二人だった」


指を組み、ありし思い出を語り始める。


「そんな二人の娘だ、村のもん、ぜーいんで祝福をしたんよ。――あれは、ユーリちゃんが、四歳の時、だったかのう」

髭を軽くいじり、記憶をたどるゼナ。


「ある日、森に男の子が、倒れていたそうな。服も何も着ていなくて、見つけたのは、ユーリちゃんのご両親だった」


「それは……」


「男の子は、どこから来たかも、分からず。分からないなら、行く宛もない、だから、優しいご両親は、その子を引き取ることにしたんよ」


シブリールがユリウスの頭を撫でる。


彼は気づかなかったが、彼女は微かに瞼を動かしていた。