ありがとうございますと寝ているユリウスに、シブリールは毛布をかけた。
「で、話って、なんだい」
「ユリウスの家族についてです」
「さて、ユーリちゃんのご両親は、昔――」
「兄弟についてです」
「……さあ、なんの、ことかね」
「とぼけないでほしい。俺もユリウスに兄弟はいないと聞かされていた。村のみんなだって、誰一人そんな話をしない」
まくし立てたのは自分でも分かったか、シブリールはトーンを落とす。
「昼間、ユリウスの兄弟と名乗る奴に会いました」
「会ったんか……!」
明らかに動揺したゼナは何かを知っているらしい。
「教えてください、ゼナさん……!何があったのかを!」
「それは……」
話していいものかと、惑うゼナの肩を掴む。


