(三)
レルムの村は夜を迎えていた。
特になにもない、今日も平和な一日をありがとうと、村の尊重たるゼナは思ったのだが。
「はい、どなた、です?」
ゆっくりと途切れ途切れの独特の口調で家の扉を叩いた人物を迎え入れたのだが。
「シルさん……ユーリちゃん!」
扉前にいた二人にゼナは寿命を縮めるほど驚いた。
「お久しぶりです、ゼナさん。お話があるのですがいいですか」
「いいけども、ユーリちゃん、大丈夫かい?」
「ええ、疲れて寝ているだけなので」
「そうかい、そうかい。中に、入んなさい」
老人らしいゆっくりな動きでゼナは二人を招き入れた。
ミルクをカップにいれ、シブリールに差し出す。
ついでユリウスのために毛布を差し出した。


