ちゆまど―世界は全て君のために―



「余も喰らうつもりか化け物」


「当たり前だろう?お腹がすくんだ。いくら食べても、何を食べても。その点、あなたなら僕の空腹を初めて満たしてくれるかもしれない。それか――」


陽気な目がユリウスに向けられた。


「もしくは僕が愛するユリウスとかね」


「貴様……!」


「化け物とユリウスが知り合いとは笑わせる」


「嘘ではないさ。知り合いどころか、兄弟だしね」


「兄弟、だと……」


にわかには信じられない。だが、男は嘘を言っている素振りもなかった。


「さて、どちらを先にいただこうかな」


「そなたがシンシアを襲った理由はなんだ」


「シンシア?ああ、そこの召還師さんね。襲ったも何も、兎狩りに理由はいるのかい」


「兎ですって……」