ラグナロクの声を聞く内に熱が下がったか、シンシアが落ち着き始める。
「十体の、選りすぐりの精鋭(召還物)を出したのに、ことごとくやられて」
「ほう、面白い。そなたの召還したものがやられるとは」
「面白くなどありませんわっ。あいつは異質です!どんな魔術も攻撃も歯がたたなくて……!」
「それで逃げてきたのだな、良い判断だ。ここならば、簡単には入ってこれぬ。して?シブリールはどうした」
「ユリウスがその男にあった途端に気絶した。何をされたか分からないが、目を覚まさない」
どれ、とラグナロクがユリウスの額に触れる。
探るように指を動かし。
「安心しろ、いずれは目を覚ますだろうぞ。ユーリの中で、ちょっとした暴走が始まっているだけだ」


