「そうだよ、彼女は僕のだ。僕が生かし、僕のために生き、僕のために死んでくれる唯一の存在なんだ!」
「ふざけるな!ユリウスはお前のものなどではない」
「ふざけてなんかいないよ。昔からの約束だ。現にユリウスは僕を慕ってくれた。思い出すねえ、一緒に森を散歩し、川で釣りをし、村ではしゃいだあの頃を……おや」
思い出したかのように男はシンシアを見た。
気づかなかったがシンシアは小声で詠唱をし。
「逃げますわよ、シブリール!」
金色の羽を持った妖精を出していた。
それだけで、何の召還物か判断したシブリールはシンシアに近づく。
妖精が彼らの周りを一周しただけで、彼らは消えてしまった。
「転送妖精か、でも」
彼らがいた場所に立つ男は指揮棒を軽く振った。


