ちゆまど―世界は全て君のために―



(――)


「あ、あああああっ!」


それは今まで聞いたこともないようなユリウスの悲鳴だった。


頭を抱えて、現実を否定するように首を振る。


やがて彼女は糸切れた人形のように倒れた。


「ユリウス!」


とっさのことでシブリールが彼女を支えたため、頭を強打するという難は去ったが。


「ユリウス、ユリウス!」


彼女は起きない。


息をしていることから、気絶しているとは分かったが、何せいきなりすぎた。


「貴様、何を――」


「へえ、やっぱりか」


驚いた。

いつの間にか、男が自分たちの前にいたのだ。


ユリウスの頬にふれ、その顔をじいと見つめる。


キレたシブリールが男をなぐろうとしたが、ひょいっと彼は後退をしてさけた。