「あ、いえ。なんだか昔の記憶があやふやで。変ですよね。父と母に色々教わった――小さな村で診療所しているのですが、薬草とかの知識は全部覚えているんですが」
「小さい時の記憶なんてそんなもんだろ。俺もよく覚えてないし」
「クロスの言う通りですよ。おかしいことなどありません。にしても、診療所とは。ユーリさんは、親御さんの後を継いだりするのですか」
「もう継いでいますね。両親は小さいときに亡くなりましたので」
「そうでしたか。ぶしつけですみません」
頭を下げた姫様にはかなり慌ててしまった。
「き、気にしないでください。昔の思い出すぎて、本当になんで死んだのか分からな――」
ノイズが酷い。
汲み取ろうとする思い出が砂のようにまっていく。無理矢理まとめようとすれば、頭を痛めた。


