ちゆまど―世界は全て君のために―



「久々のケーキ二品ですよー。ばんざーい」


「おお、良かったですね、姫」


「ええ、あと少しで来ると思います。今日はチョコドームとプリンアラモードみたいですよ」


わくわくを背中にしょっている姫に、それを見て笑顔になるクロスさん。楽しそうだなあと思う。


「ユーリさんは甘いもの好きですか」


「あ、はい。大好きです。ちょうどプリンなんかは手作りするのですが、家独自のカラメルで美味しいんですよ」


「なんとっ、それはぜひ食べてみたい。お母様より授かった知恵でしょうか」


「はい。母はよくお菓子を作る人で、私はいつも――」


ジジッ、とノイズが走った。


いつも食べて、いた。


一人で……いや、記憶絵にあるのは――


「ユーリさん?」


「どうした」