「お、俺は姫の騎士としてお慕いしているだけで、ふ、不純な気持ちなどない!」
なんて分かりやすい人なんだろう。嘘をつけないどころか、つけなくて真っ直ぐな性格そうだ。
分かっていますと言えば、クロスさんは座った。顔が赤い。
「おやあ、クロスの頬を染めるなんて、やりますねユーリさん」
茶化すような声は姫様だった。にやにやとつきそうな声色なのに、顔は朗らかな笑みだ。
「口説いたのですか」
「ち、違いますよ」
「おや、ならどうして」
「姫様の――」
「あーっ、姫!どうぞこちらへ」
せかせかと椅子を引くクロスさんは隠したいらしい。これは前途多難な片思いみたいだと思う。
「今日の成果はどうですか、姫」
ぐっと拳を握る姫はやりました、と続けた。


