「マンナカ」
姫様がそう呼んでいたので呼べば、犬は振り返った。
マンナカという名前らしい変わっている。
ついでだから撫でようとしたのだけど、シブリールさんに止められた。
「喰われるよ」
噛みつくではなく、喰われるの表現を使う彼にはいぶかしむ。
気のせいかマンナカが心外だ、みたく目を細めていた。
口を微かにあけるマンナカ。
「喰わぬ保証がどこにある」
マンナカは口を開けたままだ。
「いい加減にしろ。お前には前科がある。油断など」
まるでシブリールさんとマンナカが会話しているみたいだった。
マンナカはわんとも鳴いてないのに、ただ。
「それは……」
苦い顔をした彼を見るなり、マンナカは前に進んだ。


