ちゆまど―世界は全て君のために―



よくよく考えれば、そうだった。


私と一緒にいたいという奇跡を起こした彼。己が魔導の集大成とも言った、相当な苦労があったに違いない。


私はそれを壊そうとしている。


酷い話なのかもしれない。


「立っているのは疲れるでしょう?部屋に案内します。マンナカ、よろしく頼みますね」


動かなかった犬が立ち上がる。


私たちを通り過ぎ、扉前でお座りをした。


「部屋だけでなく、この屋敷を我が家だと思っておくつろぎください」


最後まで笑顔な姫様の顔は脳裏にすっかり焼き付いた。


頭を下げて、扉を開ければ、犬が先に出る。


とてとてと廊下を歩く犬についていった。


やはり、普通の犬じゃないのだろう。頭が良すぎる。本当に客室に案内しているみたいだった。