ちゆまど―世界は全て君のために―



「……なぜ、知っている」


「マンナカが知っていました」


ぴくりと黒犬の耳が動いた。


「世界殺し?」


「おや、彼女さんはご存知ではないので?神をも足蹴にしたこの方の――」


「言うな!」


身が強張った。

私はびっくりしたのに、姫様はそうでもなさそうだった。


「いずれ、俺自身が彼女に話すことだ」


「これはこれは。あなたの想いを汲み取れず申し訳ありません」


「話がそれた、さっさと戻してもらおうか」


「そのことですが。少し考えてみたらいかがです?」


「え」


「なんだと」


「どうにも、ユーリさんの方は離れたいという気持ちがあるのは分かりますが、ね」


多くは語らずとも、姫様の視線の先にいるシブリールさんで分かった。