「さて、シブリールさんのご質問に答えるなら、イエス。人間ですよ、これでも。れっきとしたね」
「……“毒”を持つのにか」
「毒壺を持っていようとも流さなければ害意はありません。それにこの毒は、万病を殺す毒でもありましてね。意外と重宝しているのですよ」
猛毒のトリカブトが妙薬になるのを思い出す話だ。
にしても、姫様は普通に人間に見えるのだけどな。
「俺たちが来たと何故気付いた」
「予兆がありましたから。虫の知らせと言いますか、直感と言いますか……。まあ宛どころない感覚ですよ」
「潜在的魔術か」
「この世界では魔術師はおりませんよ。近い存在と言えば、術者と呼ばれる人たち。ある一つのワードにおいて完璧なる力を発揮するのですよ」


