「あ、私。ユリウス・ステリウスと申します。ユーリと呼んでください。こっちはシブリールさんです」
頭を下げた。のに、彼は頭を下げない。
一国の主になんて失礼なと思えば、彼は難しそうな顔をしている。
「お前、人間か」
「し、シブリールさんっ」
「お連れの方はだいぶいい“目”を持っているのですね。面白い。あ、私はビルディと申します」
「名前などいい。ババア――ラグナロクと同じだ、お前は。どうりで、あの女が喜ぶわけだ」
「やはりラグナロクの知り合いでしたか。ここに来られた時、そちら側の世界の匂いがしたそうなので」
ね、マンナカ。と姫様は机の横にいた犬に話しかけていた。
犬は寝そべり何も答えない。


