「ったく……。姫、客人を連れてきました」
ノックをしたクロスさんに応じて、中から返事がした。
クロスさんが扉を開ける。中に入るなり、扉が閉められた。
「ようこそいらっしゃいました。ずいぶんと“遠い世界”から」
鈴鳥みたいな落ち着く声。
豪華な机と皮の椅子に座るのは赤い髪が印象的な女性。
一国の王だ。もっとお歳を召していられるのかと思えば、彼女は私とそう変わりない歳だろう。
天使の生まれ変わり、見た目の美しさからそれが大いに頷けた。
「生憎と、ここは執務室でしてね。椅子はこれしかないのですよ。良ければ、応接間にご案内しますが」
「あ、いえ。ここで大丈夫です。姫様」
クロスさんが姫と言っていたのでそう呼ぶ。


