ちゆまど―世界は全て君のために―



「さっきから下手に出てれば、調子にのりやがって」


下手に出てたか、あなたは。


心のつっこみを他所にシブリールさんはまた扉を蹴る。


「彼女がお願いしているんだぞ。笑顔で聞くのが普通なんじゃないのか、ええ、ブサ男」


「……」


ぎいぃぃ、とやけに重く扉が開いた。


「出てきたか、ブサ男。さっさと入れろ」


「……」


「なんだ?」


「ふっ、人様を不細工呼ばわりするんだ。それなりの顔を持っているかと思えば、なんだ――その程度か」


ぶちり、どこからともなく変な音がした。


「舌は動くらしいな、ブサ男。俺の容姿に難癖つけたのは貴様が初めてだ」


「奇遇だな、俺もだ。ブサ男と聞いた瞬間、目が腐っていると思ったぞ」