ちゆまど―世界は全て君のために―



男性だ。長い髪が印象的だが、高い身長 と体つきから男だと分かった。


「客人か」


「あ、はじめまして」


頭を下げる。


「あ、あの、この屋敷の……魔術師さんに会わせてほしいんですが」


一瞬、なんと言おうか迷ったが、結局こうなった。


名前を聞いてなかったのだ、会えば分かるとラグナロク様が言うから。


私たちを離れさせるにはやはり魔術師だろうと思って言ったのに。


「魔術師?」


痛い者でも見るかの目で見られてしまった。


「術者ならいるが、そんなおとぎ話はいない」


「術者?」


「なんだ、まさか知らないと抜かすのか」


「えっと……」


知らない。この世界特有の言葉なんだろうか。


「おい、貴様」


「ちょ、シブリールさん。いきなり貴様呼ばわりは……!」