ちゆまど―世界は全て君のために―



(二)


「――」


息が、止まっていた。


浮き上がった鳥のように息を吸う。


「ユリウス、ああ、良かった!」


寝ていた私を抱き起こすシブリールさんに安堵した。


思わず、抱き締めてくれる腕に手を添えた。


「わた、し……」


「目覚めないし、うなされているみたいだったから心配したんだ。本当に良かった……」


じっとりと汗が浮き出ていた。鼓動も早い。


「ここは……」


辺りを見回す。

草原が広がっていた。


丘の上だろうか。少し低い位置に街らしきものが見える。


「成功したらしいね。立てる?」


シブリールさんの手を借りて立った。


流れる風が気持ちいい。一見すれば、どこかに飛ばされたようだが。