―懐かしい教室。
校庭。
体育館。
そして・・・この学校。



「あ!清本せんせー!」

「おー、お前ら、ずいぶんでかくなったな」

私たちは大いに笑った。

ここ、清川西小学校は、私たち132人が卒業した学校だ。

今はここにいる全員が、もうあと一年でそれぞれ通っている高校を卒業する。

今日私たちがここに来た理由は・・・、清川西小学校の”卒業証書”をもらうため。

私たちの卒業証書は学校のタイムカプセルに埋めてある。

私たちはこの学校が大好きだった。

いろんな思い出が、この学校には詰まっているから。

だけどこの学校は、今年で廃校になってしまうらしい。

本当は成人式の当日に、卒業証書をもらうはずだった。

だけどその頃には、もうここは・・・、会社かなにかに変わってしまうのかもしれない。

そんなの、私たちはもちろん納得できないけど。

「・・・由良」

後ろから声が聞こえた。

「!嘘!!!翔くん!?」

『え・・・。嘘!本当だ!翔だ!』

周りがざわめき始めた時、翔の横にいた男子が言った。

「翔!もうお前、すっかり有名人ジャン!」

翔は5年前、バンドのオーディションを受けて、見事合格。

あれから翔は、もうすっかりこの街に名の知れる有名人だ。

そして私が言う。

「・・・もうなんか、この学校にいたときは、いろんな事があったよね・・・」

ざわざわしていた周りが静まる。

「うん・・・。そうだよね」

「てか清本せんせー、早く卒業証書ちょうだいって~~」

「あぁ、忘れてた!じゃあ皆、ついてこい」

『はーい!』