「おはよ~…」



そーっと部室を覗いた。




「ん?なんだ…」



目の前の光景を見てほっとした。




「誰もいない…」



私の勘が当たったみたいで、部室にはもう誰もいなかった。




「来る必要なかったな」



一人でボソッ呟く。



誰も答えてくれないのが少しだけ寂しい。




「帰ろ……ん?」




帰ろうとして気づいた。



「…天体観測に行こう」




黒板にそうでかでかと書かれていて、私は思わず足を止めた。



“天体観測に行こう!参加する人は名前書いて~☆”



というのが書いてあり、その横には多分直哉の手作りのビラが貼ってあった。



“天体観測に行って夏の思い出を作ろう!!”



「何これ…」



直哉らしくなくて、ちょっと笑えた。




「………」




私は、黒板に歩み寄り、置いてあるチョークを持った。



チョークを黒板につけた。




だけど



『昨日直哉君と星を見に行ったよ』ーー



「っ…」




カタンとチョークを置いた。



むなしい音だった。




…やっぱり、行けない



私は走って部室を出た。