ツナガル。



「なんで、なんで私なの?」

「テニスしてる吏愛も、授業中寝てる吏愛も、なんかドジな吏愛も…全部好き」

そういいながら、結城くんはちょっと笑ってた。

「だから…俺と付き合って」



初めて告白された。
しかもみんなの人気者に。



でも、私の頭の中にいたのは
結城くんじゃなかった。


「ご、ごめんっ!結城くん、離してっ」


でも結城くんは離してくれなかった。


「無理な事言っちゃってごめんな。最後にさ…1回だけ呼び捨てで俺の名前呼んでほしい…」


「さ…き…と…」
「吏愛、ありがとう」



ゆっくり手を離してくれた結城くんの顔は、夕陽の光でオレンジ色に照らされていた。



だけどその目には涙がたまっていた。


「ごめんね…私、帰る!」


そう言って私は音楽室を飛び出した。