驚いているセシルを不思議そうに見ていると、それに気付いたのか更にセシルは話を続けた。

「確かに3年前までニックは居ました。ですが今まで一度もニックを訪ねてきた人は居なかったもので・・・。」

「一度も・・・ですか?」

ニックが生まれたときのアニーの顔を知っているカトレアには、アニーが一度も訪ねてこなかったのが信じられなく、聞きかえしてしまった。

「えぇ。一度もです。それは『園では』って意味ですが・・・。誕生日には決まって園の外に女の人が居て、ニックは外出してましたから・・・」