彼女の笑顔に癒され、カトレア目当てでやってくる患者も多い。

畑仕事で足をすりむいただの、突き指しただの・・・。

何かと理由をつけてはカトレアに会いに来る。

そんな患者達の間ではカトレアは『白衣の天使』と呼ばれ愛されていた。

更に彼女が白衣の天使と呼ばれるようになったのは、それ以外にもある。

出産を迎えた妊婦が運ばれてくると、そのお腹に優しく手を触れ


 「元気な男の子ですね。早く出たがってますよ。一緒にがんばりましょうね。」

と、安心させる。そして無事出産を終えると、赤ちゃんを抱き


「この子は頭の良い子ですよ。優しくて、将来、親孝行な子になりますよ。」


そう、カトレアには子供の未来が見えるというのだ。

その能力に気が付いたのは7年前・・・15歳だった。



いつも「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と慕っていた近所のアリスが子供を出産。カトレアはその子を抱き


「この子、人の痛みの分かる子になるわ。でもパパとママがもっと仲良くならないと、この子不幸になる。」

そう言ってアリスを驚かせた。

アリスは当時、仕事で遅くなる旦那のロバートと、ほとんど顔を合わす事がなく、離婚を考えていた。

その事はアリスの両親は勿論、親しい友人、ましてや近所のカトレアが知るはずなく

アリスはロバートと目を合わし、苦虫を潰した様に二人で笑った。


その時からであろうか、カトレアが看護婦を目指すようになったのは・・・


念願の看護婦になったカトレアは、幾度となく出産に立ち合い、幾度となくこれから母になる人達を安心させてきたが

そんなカトレアには一つ気がかりがあった。

それは自分の出産である。

すると彼のロイドは決まって


「大丈夫。君は何人もの人を安心させてきたんだろ?僕にだって一人位なら安心させられるよ。」

と。そんな優しいロイドにカトレアは惹かれ

結婚、出産を決意する。