1時間後。


あたしは言われるまま、いつものカフェに向かっていた。


降り出しそうだった雨雲も夕焼けに消えている。


気分は晴れやかではないけれど、


それでも雅司に会えるのが嬉しくないと言えば嘘になる。


カフェの扉を開くと、奥の席にいる雅司が見えた。


こちらに気付くと手を挙げる。


「よっ」


いつもより穏やかな、優しい笑顔がある。


「・・・明は?帰ったの?」


席に着いてメニューを開く。


「うん。


俺あゆって子の話聞かなきゃいけなくて忙しいから」