ドアに向かって走る惣一郎と綾香。

学校の屋上は、何故か普通鍵がかかっている。

当然、ここもそうだった。

だが綾香は関係ない。

ドアを擦り抜けれるからだ。

しかし、惣一郎は…。

綾香は、ドアにそーっと頭を突っ込む。

『…うん。大丈夫ね。惣、手を』

と言われ、惣は綾香の手を取った。

グイッと引っ張られ、惣一郎もドアを擦り抜けた。

『後2分か~ギリギリセーフね』

と言いながら、綾香は既に予備の上履きだった。

『惣も遅刻しちゃだめよ~じゃねぇ~』

と言いながら綾香は教室へ向かった。

惣一郎は、上履きを捕りに行っていたので、2分遅刻したが許してもらえた。

惣一郎の能力は家族の能力を使える…。

そんな事はない。

これは、綾香の能力だ。

綾香は、自分に触れた人間も一緒に、壁抜けさせる事が出来る。

惣一郎には能力がない。