『こわれた』

葵はステンレス製のスプーンを惣一郎に差し出した。

『あぁ真っ二つはダメだなぁ;』

受け取ったスプーンは、付け根当たりで二つに分断していた。

『待ってろよ』

ガチャガチャ…

惣一郎は引き出しから別のスプーンを取り出した。

『はい、次は気をつけるんだぞ』

『あぃ、あいがとっ』

葵はオムライスを黙々と食べ始めた。

『そうだ!葵ちゃん』

美和子が呼んだ。

『今日幼稚園の後、お買い物お手伝いしてくれるかな?』

『するっ!』

葵が目をキラキラさせながら言った。

『じゃぁちゃんと両手で重そうに持ってね♪』

『あいっ!』

葵はやる気満々だ。

『母さん…何買うの?;』

惣一郎は美和子に尋ねる。