そう、最初に現れたオカマは生徒会会計様の二年、河馬種族 パム様と。
次に現れた美人は、生徒会書記様の三年、猿種族 マンク様だ。
まだ一年生の僕は生徒会の皆様を見たことがなかったから、最初はわからなかったが、噂は僕の耳にも届いていた。
『ゴリラみたいなカバのオカマと、花みたいな猿の美女が居る。』
噂とは素晴らしい。
実物を見たことがない人は何を表現したいのかよくわからないが、実物を見れば噂とピッタリ一致することがわかる。
「う、噂は聞いております。」
いきなりかしこまった態度に急変した僕を、マンク先輩は気持ち悪そうな顔で見ていた。
…結構酷い。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
…何故に皆さん、沈黙な?
「…ぇ…す…」
「あれ?」
なんか聞き覚えのない声怒鳴り声がした気がしたけど…気のせい?
この部屋に居る人たちは誰一人として口を開いていないから、どうやらそれは部屋の外から聞こえてきたと見て間違いはないようだが。
「…あ、え、えっと、ピアはそろそろ帰るね!!
何かやっぱお邪魔みたいだから帰るね!!
用事思い出したっぽいから帰るね!!
部外者だから帰るね!!ね!?
…あの、皆さん、お元気で。」
普段なら何事にも動じないピアが、焦っている。挙動不審になっている。
そしてピアの最後の一言。
それがこの部屋の空気を凍らせた気がする。



