「堂々敦って奴…」
「え?」
しばしの沈黙の後、佐伯が口を動かした
「俺が捜してる奴」
「そうなんだ…」
少しほっとしている自分がいる
「あいつ、今日から週番なのに姿眩ませやがって…」
佐伯の顔を見上げる
「手伝おうか?」
「いーよいーよ。お前は爽でも捜してろい」
頭をくしゃくしゃ撫でられる
や、やばい…
心臓が持たないよ…
「もしかして、敦と爽一緒にいたりして…」
「ど、どうして?爽、敦君って人知らないと思うよ…」
胸の鼓動を落ち着かせながら、静かに話した
「もしかしたらだって、偶然、偶然ッ」
偶然…
あたしたちが会ったことも、偶然で片付けるのかな…
「んじゃ、俺行くわ」
「あっ、うん」

