「どこに行ったんだろッ…」
爽を追いかけていたはずなのに…
爽に逃げられた
「爽、足速いからな…」
息を整えようと、一度立ち止まった
「何、息切らしてんだよっ」
後ろから声を掛けられた
佐伯康弘(さいき やすひろ)
あたしの近所で幼なじみでもある
「ちょっと…爽に逃げられて…」
今までのいきさつを話した
「まぢ受けんな。あいつがスカート履いてんの想像できん」
佐伯はあたしと同様にお腹を抱えて笑っていた
「あんたは何してたのよ、こんなとこで?」
ここは別棟
クラスがある教棟とは違い、人が滅多に行き交うことはない、静かな棟なのだ
「あっ、俺?俺も人捜しってとこ」

